寺からの一言
目次  住職からの提言  三楽会会則  精霊迎え  役職員名簿  
最近ネットで話題となった「日本人の仏教離れが深刻化」というニュース。また「お坊さん便」が話題になり、波紋を投げかけている。「僧侶派遣」業自体は新しい話ではない。アマゾンに頼るまでもなく、ネットで検索すれば僧侶派遣サービスを行う会社・団体はいくらでも見つかる。 批判の背景には世間の「仏教離れ」がある。普段は殆ど寺と付き合いがないのに、葬儀の時だけ寺院にくる。仏教団体がお布施や葬儀の意味を世間に伝えたり、普段から仏教に慣れ親しむように努力すべきだったが、それを怠ってきたという部分が有るのも事実である。実は日本の多くの寺院は破産寸前で、3割の寺院の僧侶が年収100万円以下で働いているというデ−タもある。
そもそも、私どもは「お布施」を定額表示することは一切していない。しかし地方にいけば「院号」「居士・大姉」「信士・信女」で葬儀費用、法号料が明示されている。現代社会は常識が通じないところが多々ある。「明瞭で適正な費用」「電話一本でかんたん依頼」「必要な時だけお付き合い」が受けいられるのであろう。今までの寺院と檀徒の関係はなくなり始めている。寺院との関係をしがらみとして嫌うことが顕著である。
日本の伝統ある仏教界は、檀家お一人おひとりからのご懇念をもって進納された「お布施(懇志金)」によって寺院を護持経営し、教えを広め、仏法を相続してきました。これが宗教の本来性であり、教団の歴史と伝統でもあった。
しかしながら、その布施の精神をないがしろにするような法外な「お布施」を請求するなどの事実が大都市圏内ではあり、慚愧の念に堪えないところである。また、悩み苦しんでいる方々に本当に寄り添えているのか、僧侶としてのあり方を足下から見つめ直し、信頼と安心を回復していかなければならない。


生活の成り立たない「住職」という職業

この頃塔頭寺院の住職も市内の大手葬儀社に登録している者もいる。こうしたサービスは僧侶にとって決して素直に受け入れられるものではないと思うが、それでも登録を望む住職は多い。
実際のところは住職の過半はそれだけでは生活が成り立たず「兼業」している。地方で育った方は、学校の先生がお寺の住職さんだった、なんて経験を持っている方は少なく無い。しかも寺の基盤は原則世襲され、他の土地に移ることも容易ではない。
最近は格差の固定化ということが社会の問題として話題になることが多いが、住職の世界はそれよりずっと階層化され固定化された格差社会と言うことも出来る。なぜかこの格差を是正しようと言う取り組みや問題提起は仏教界からほとんどなされることがない。


崩壊する日本の仏教
近年、日本の仏教が大幅な衰退の危機に瀕しているといい、現在約7万7000ある寺院のうち、25年以内にはその内の約4割にあたる2万7000ヶ所の寺院が閉鎖される危険性があるという。臨済宗最大の宗派である妙心寺派でさえ寺院数は毎年減少している。15年前の寺院数は3398か寺であったが、現在は40か寺減の3349か寺、兼務寺院1058か寺となっている。ただでさえ極貧の寺院経営は、檀家の減少や宗教収入の減少で崩壊しようとしている。仏教が示す価値観と市場の価値観が乖離しているという現状である。
「宗教崩壊」は一般庶民に何をもたらすのか。また、社会全体として、どんな影響が出るのだろう。寺や神社が消えることでの「物的崩壊」は既に進行中だが、同時に「心の崩壊」へと広がっていく危険性もある。